「酸性体質」から「(弱)アルカリ性体質」へ切替えるための実践的な手引き
全体を【第1群(完全なアルカリ性食品)】と【第2群(酸性食品の一部を選抜)】に大きく分けてあります。
前者は、目指すターゲットと実現可能性の違いにより「完全菜食」と同じではありません。
また後者は、現状の食生活から一挙に前者に移行するのは大多数の人にとって現実的でない、特にタンパク質の摂取に課題が大きいと考えられるので、体験を重ねながら段階的に移行するためのご参考として、酸性食品の一部を、日本人の食生活の実情も踏まえてリストアップしたものです。
【第1群(完全なアルカリ性食品)】
・野菜類:ほとんどすべてが該当(トマトを含む)
〔カルシウムの多いもの〕オカヒジキ、カブ、キョウナ、コマツナ、シソ、シュンギク、干しズイキ、ダイコン類、タカナ、チンゲンサイ、ナバナ類、ノザワナ、パセリ、ホウレンソウ、モロヘイヤ、ワサビ
・果物類:ビタミンC、食物繊維の摂取が主な役割
〔カルシウム食品として意義があるもの〕梅干し(塩漬け)、イチジク(生)、オリーブ(ピクルス)、キウイフルーツ(生)、キンカン(全果、生)、スダチ(果皮、生)、ユズ(果皮、生)、レモン(全果、生)
・芋(いも)類:サツマイモ、サトイモ類、ヤマノイモ類(長芋、大和芋)、コンニャクと加工品
(注:ジャガイモは該当しない)
・豆類:(代表的なもの)インゲンマメ、エダマメ、エンドウ類、ソラマメ、大豆、
(発酵、加工食品として)豆腐、油揚げ、納豆、豆乳
・種実類:ゴマ(乾、いり)
(注:ラッカセイ[ピーナツ]は該当しない)
・キノコ類:キクラゲ(唯一のアルカリ性食品、他のキノコ類はリンが圧倒的に多いので「だし」として少量のみを!)
・藻類:ほとんどすべてが該当
〔カルシウムの多いもの〕アオノリ、コンブ類、ヒジキ、ヒトエグサ、ワカメ
・乳類:生乳(成分無調整の普通牛乳)、ヨーグルト(望ましくは、生乳100%のプレーンヨーグルト)
(注:乳類にはカルシウムの吸収に特に必要なマグネシウム、ビタミンDおよびKがほとんど含まれていないので、単独で大量に摂ることは避けましょう。マグネシウムを多く含む食品は、ゴマ、玄米、納豆、海棲の貝類などです。ビタミンDは紫外線が皮膚に当たることによって合成されるので、太陽にあたるのがベストですが、食品で摂る簡単な方法はしらす干しを毎日10g食べることです、卵焼きに入れたり、ご飯に振り掛けるなどして。ビタミンKの大半は腸内細菌によって合成されますが、抗生物質を飲んでいる方や妊婦または授乳中の母親は食品から補う必要があります、納豆や野菜類を多く摂っていれば問題ありません。)
・魚介類:アミ、オキアミ、カジカ(ゴリ)、サクラエビ、ドジョウ、ホンモロコ(琵琶湖)、ワカサギ
・油脂類:菜種油、ゴマ油、オリーブオイル
【第2群(酸性食品の一部を選抜)】
(はじめに)選抜の基準としたデータの一つは、食品成分の「カルシウム(Ca)」に対する「リン(P:Phosphorus)」の倍率〔P/Ca〕です。その一部(リンを多く含むもの)を列挙してみます。
・牛肉(各部位平均、生)40〜50倍、(リブロース、焼き)30倍、(同、ゆで)20倍
・豚肉(各部位平均、生)40〜50倍、(ロース、焼き)40倍、(同、ゆで)30倍
・魚類:(マグロ類、生)30~50倍、(カツオ類、生)25〜30倍
以下は、第一段階として許容できると思われる酸性食品です。ここに立止らず、柔軟に前進しましょう。なお1日の主食は(例えば3食を米飯に)固定しないで、毎回 違うものにしましょう。
・小麦(玄穀)〔P/Ca〕13.5倍、・小麦粉(胚芽・ふすまを除く、胚乳に相当する部分)3.5倍
※:パン食や麺食への配慮、ふすまの栄養価は高いので、パンは「ふすま入り」が望ましい。
・水稲(穀粒・玄米)30倍、・水稲(めし・玄米)18倍、・水稲(めし・精白米)11倍
※:日本人の食習慣への配慮、白米食に対し圧倒的な優位性を持つ玄米食が望ましい(食べる量は白米の半分程度で十分)。ビタミンやミネラルの含有量の多さだけでなく、炊く前に数時間水に浸すだけでGABA[ガンマーアミノ酪酸]などの有用物質が発生し食用に最適の状態[発芽玄米]になる。炊くには水を白米の約1.5倍にするだけで普通の炊飯器でOK)
・鶏肉(各部位平均)15〜20倍、鶏卵(全卵)3〜4倍
※:「肉食=0」へ移行するまでに、食べる回数や量を減らしていく余地として
・全体食の小魚:イカナゴ〔P/Ca〕1倍、イワシ類(シラス、煮干し)、キビナゴ、シシャモ、シラウオ、サツマアゲ(水産練り製品)
・小型の近海魚・淡水魚〔地域・季節・天候・販売店の規模などによる入手の難易を考慮して、主要なものを全て記載〕:アナゴ〔P/Ca〕3倍、アマダイ、アユ、イワシ類、ウグイ、ウツボ、ウナギ、ウマヅラハギ、エソ、カサゴ、カマス、キス、グチ、コチ類、コノシロ(コハダ)、シタビラメ、タカベ、ハゼ、ハタハタ、ハモ、フナ、ホウボウ、メバル、ヤマメ
(注:イカ・タコ類は〔P/Ca〕が〔12〜28・10~12〕と高く、なるべく避けるように。また主に近海または河川で漁獲される魚類のうち〔P/Ca>4〕の次を除外:アコウダイ、アジ、アマゴ、アンコウ、イサキ、イシダイ、イトヨリダイ、イボダイ、イワナ、エイ、オイカワ、オコゼ、カレイ類、カワハギ、キス、キチジ、キンメダイ、コイ、コチ類、サケ・マス類、サバ類、サヨリ、サワラ、サンマ、シマアジ、スズキ、タイ類、タカサゴ(沖縄)、タチウオ、タラ類、チカ、トビウオ、ヒラメ、ナマズ、ニシン、ハマフエフキ、ヒラマサ、フグ類、ブリ、ホウボウ、ホッケ、ボラ、マナガツオ、ムツ、メジナ、ヤツメウナギ)
・カニ類:ガザミ〔P/Ca〕2倍、ズワイガニ、タラバガニ
・貝類:アサリ〔P/Ca〕2倍、イガイ(カラスガイ、シュウリガイ)、カキ、シジミ、ツブ(ツブガイ)、バイガイ、バカガイ(アオヤギ)、ハマグリ、ホッキガイ、ミルガイ、ムラサキイガイ(ムールガイ)