県民パワーで地元原発の「自然死」を実現しよう・(アセンション時局’11

[2011825]

 

2011年夏に騒然とした話題になった「電力不足」は、企業や家庭での節電努力の効果もあって、大過なく過ぎ去ろうとしています。それどころか、東電管内(主に関東圏)では、そもそも無理をしてまで節電する必要があったのか、という声さえ聞こえてきます。

 

電力供給が問題になるのは、常に予想される最大電力需要への対応です。そして北海道以外では、エアコンなどの消費電力が増える夏場が課題となります。

2011年夏では、818日が全国的な猛暑のピークであったことには疑問の余地がありませんが、各地域の電力需給は、難なくそれをクリアしました。

一方、お盆明けで工場などの操業が一斉に始まる822日からの週が、特に824日(水曜)が注目されていました。自動車業界などが木曜と金曜を休日にしたので、25日(木曜)以降は消費電量が減り、その先には猛暑のピークが来る可能性は小さいからです。

 

原発に関して今夏は、定期検査(定検)で新たに5基が停止しています。東電・柏崎刈羽1号機(110kw)、同7号機(135.6kw)、関電・高浜4号機(87kw)、同・大飯4号機(118kw)、そして26日からの完全停止のため準備に入っている)北海道電力・泊2号機(58kw)です。

したがって全国に54基ある商用原発のうち、いま運転中の原発は13基しかなく、その合計出力は1,134kwに過ぎません。

これは、現時点のピーク供給力:約16,000kw(原発のない沖縄電力を除く)に対して僅か7で、「完全に誤差の範囲」にあることを銘記しておきましょう.

 

一般に電力会社の余裕電力は8-10%程度が望ましいとされており、各電力会社の「でんき予報」によれば、問題の824日においてすら、「予想最大電力需要」は「ピーク供給力」を大きく下回っています(ちなみに北海道電力には夏場の「予報」はありません)

東北電86%(ピーク供給力:1,219kw)、東電79(同:5,310kw)、中部電89%(2,517kw)、北陸電85%(534kw)、関電86%(2,930kw)、中国電83%(1,100kw)、四国電87%(553kw)、九州電89%(1,549kw)。

この日の「予想最大電力需要」は各社とも14時から15時を見込んでおり、その時点の実績値は「予想」と大差ありません。

なお各社は、供給力に占める「揚水発電」の出力分を明確にしていませんが、もっぱら「原発余剰電力の受け皿」として造ってきたこの巨大な設備群を、昼夜間および季節間の需給バッファー(緩衝装置)として有効活用させ適当な予備力を維持するために、(利益が多い原発への依存度を高める目的で、まだ寿命でもないのに休止させてきた)火力発電の何基かを再稼動させるなどの措置は今後も必要と考えられます。

 

ここで注目するべきは、東電の余裕率および余裕量の大きさです。その余裕は1,130kwもあります。

いま稼動している東電の原発は、柏崎刈羽5号機(110kw)と同6号機(135.6kw)のみで、2012年の冬から春にかけて相次いで定検に入ることになっています。

これによって、失われる245.6kwは上の余裕によって十分にカバーできるだけでなく、「ストレステスト」の一次評価を先送りするという「裏ワザ」によって817日に運転を再開したものの、来春には再び定期点検に入ることになっている北海道電力の泊3号機(91kw)の分も(電力融通を通じて)優にカバーできるでしょう。こうした融通は、電力会社間では常態です。

このように、東北電(全原発停止中)を含む日本の「50ヘルツ(Hz)圏」で、「原発ゼロ」は既に事実上の現実です。

 

一方、「60Hz圏」で原発依存度が高い関電はどうでしょうか。

いま稼動している原発は、保有する11基のうち、美浜2号機(50kw)、大飯2号機(117.5kw)、高浜2号機(82.6kw)、同3号機(87kw)の4基のみで、今春から來冬にかけて相次ぎ定検で停止することになっています。

これによって失われる電力は337kwです。しかし来夏に向けて関電が既に進めている対策(停止中の火力発電の再稼動:多奈川第二発電所12号機、南海発電所2号機、宮津エネルギー研究所12号機など)によって得られる240kwと相殺すれば、実質減は97kwとなり、完全に現時点の余力(400kw)の枠内に収まり、なお余裕があります。

 

60Hz圏」で他に稼動している原発は6基あり、中国電・島根2号機(82kw)、四国電・伊方1号機(56.6kw)、同2号機(56.6kw)、九州電・玄海1号機(56kw)、同4号機(118kw)、同・川内2号機(89kw)ですが、いずれも今秋から來冬にかけて定検に入ることになっています。

これらの合計出力は458kwで、これら3社に中部電と北陸電を加えた5社の現時点の余力778kwの範囲内に収まります。

現実には、同じ「60Hz圏」の関電の余裕分(40097303kw)を加えた1,081kwの枠内で、臨機応変に融通し合えばいいわけで、こちらでも「原発ゼロ」は既に事実上の現実だと言えるでしょう。

なお、緊急事態への備えとして電力の東西融通手段を増やすために、現有の合計100kwの能力に加えて、更に100kw程度の〔60Hz50Hz〕周波数変換設備を増強することも望まれます。

 

以上のように、絶妙のタイミングで「全原発の自然死」が視野に入ってきました。

これは、この地震国日本で、「原発事故の脅威に曝されることなく安らかに生きたい」と思う大多数の国民の希望に沿う流れではないでしょうか。

 

しかし、それを現実のものにするために、これまで取り込んできた数々の「原発をめぐる呪縛」から、精神的に自由になることが先決でしょう。いつの間にか、私たちは実に多くの「神話」を意識に刷り込まれ、「事実」だと思い込むようになっているようです。

 

1.原発がないと電気が足りなくなる(「電気ないない神話」)――「最大の誤解」ともいえるものですが、実情は上記で説明した通りです。

 

2.原発はクリーンなエネルギーで、地球温暖化対策の切り札(「原発クリーン神話」)――それどころか、人間だけでなく自然界の生きものを加害し、大気・土壌・海洋などを広範に汚染する、最もダーティーなエネルギー源であることは、「フクシマ」で私たちが見て感じてきた通りです。原発は「正常運転」している時でも、程度の差はあっても放射線を出し続けています。

このような「核」や「化学物質」による汚染こそが人類が抱えている「真の地球環境問題」で、いわゆる「地球温暖化」は、主にアセンションのプロセスで地球(ガイア)の波動が上昇していることに起因するものです。人類もまた同じプロセスを歩んでいるので、今や28℃前後を快適と感じる人が増えてきているはずです。

 

3.原発は安価なエネルギーなので、原発がなくなると電気料金が高くなる(「原発ローコスト神話」)――それどころか、「原発のツケ」によって、私たちは世界一高い電気料金を負担しています。

東電が何百キロも離れた営業圏外に原発を建設し(青森県東通村、新潟県柏崎市・刈羽村、そして福島県浜通り)、そこから巨大な送電鉄塔を敷設して首都圏まで送電するという経済的合理性と無縁のことができるのは、巨額の広告宣伝費なども含めて、全費用を電気料金に転嫁できる仕組みになっているからです。

そして、彼らの計算による「原発のコスト」では、揚水発電所の建設・運転費用、廃炉を含む核廃棄物の最終処分の費用、事故対策の費用など様々なものが、除外または過小に計上されています。

更に、電源三法による立地交付金など、私たちの税金で支弁されているものもあります。

資源エネルギー庁の資料によると、出力135kwの原発を抱える立地の場合、運転開始までの10年間に481億円、さらに運転開始後の10年間を含めると、総額1,359億円が立地市町村や都道府県、周辺市町村にもたらされる試算になります。

 

ここで注意するべきことは、「原発マネー」の仕組みがもたらす「おいしい利権」を手放したくない、「原子力ムラ」の方々の手になる原発延命のための巧妙な仕掛けです。

その一端が、はからずも北海道電力・泊3号機の運転再開で露呈しました。

これは、「311」以降に初めて、停止中の原発が稼動したという点で「画期的な」出来事ですが、表面的には高橋はるみ知事が運転再開を容認したことが発端とされています。

しかしその裏には、経産省と北海道電力との綿密な連携による「出来レース」があったことが見え見えです。

そもそも、同原発は「311」の直前に定検が事実上終了していました。そこへ巨大地震と福島原発事故が起こったため、それから5ヶ月間も「定検中」を装った(無認可の)実質的営業運転を続けてきていますが、その違法状態を監督官庁たる経産省が問題にした形跡はありません。

そして今回、経産省は「(ストレステストの)一次評価を先送りして、営業運転しながら二次評価のみ実施する」という「裏ワザ」を案出して、北海道電力の申し入れに応えたのです。これはまさに、国民の安全への願いを受けて決まったばかりの「ストレステスト」を骨抜きにする行為です。

 

一方、手順としての道議会を1日だけ開いて、拙速に事を進めようとする高橋はるみ知事の言動をYouTubeなどで見ると、狭量で一途な思い込みがあるように見えます。

おそらく彼女は、泊3号機が運転されない場合の今冬の電力危機について、北海道電力から徹底的に「教育」されたのでしょう(資金管理団体の会長が同電力の元会長で、同社の役員たちから毎年個人献金も受けている仲なので)。実際には東電から融通してもらえば済む話なのに、その片鱗すら教えてもらえず(日本の仕組みでは原発は「金のなる木」なので、どの電力会社も「自社原発」の運転に固執します)。

これに加えて北海道は、1990年前後のバブル経済崩壊に連動して、永い歴史のある北海道拓殖銀行が経営破たんで消滅するなどの大きな地盤沈下がありました。それ以来一度も浮上する機会に恵まれなかった北海道経済にとって、「原発マネー」にすがる以外の選択肢が考えられなかったという事情が、今でも尾を引いている面もあるでしょう。

高橋知事の意向に対して、現地関係町村のどこからも異論が出なかったという事実が、それを説明しています。

さらに、先の知事選挙で推薦を受けた二党からの働きかけもあったかもしれません。

いずれにしても同知事は、貴重な「反面教師」を演じてくれました。

ちなみに泊原発は、人口が集中する札幌から65kmの至近距離にあります。これはほぼ、福島第一原発から福島市の距離に相当します。

 

そこで、原発立地県の皆さん、そして近隣府県の皆さん、第二、第三の「高橋はるみ知事」が現れて、原発全廃への流れが台無しにならないように、大いに注視し、また行動しようではありませんか。

現在の政治・社会状況のもとでも、私たちが「真の市民主権」を取り戻す手段は失われていません。

原発に関しては、立地県の知事が認めなければ運転できないということが、大きなポイントです。

したがって、知事が立地町村のエゴに屈することなく、また「原子力ムラ」など声の大きい者からの懐柔情報に篭絡されることなく、常に多数住民の総意の代弁・実行者となるように監視し、また間断なく市民サイドからの要望や情報を伝え続けることが大切だと思います。

概して知事や議員は、特定ルートからの一面的な情報を珍重し、それによって物事を判断する傾向があることに留意しましょう。

 

その前提として、知事の支持基盤や政党色、議会との関係、選挙で当選した時の事情、任期や次の選挙への姿勢、日頃の言動などから、表面的なポーズと本心との差異がないかどうかなどを見極めて、それらに応じたアプローチを工夫する必要があるでしょう。

またNPOなどが、それぞれの設立目的や現に抱えているテーマを超越して、「いのちを原発から守る」という共通の目標の基に結集することも出来るでしょう。それが県内だけでなく、県境を超えた連帯となればなお結構です。そうしたNPOを支援することも重要です。

メールや手紙などで、知事や地元出身の県会議員へ働きかけることも有効でしょう。

NPO連合として適当なタイミングで、知事や県会議員へのアンケート調査を行って結果を公表したり、署名活動やデモ行進を企画し実行することなども意義があるでしょう。

私たち大人だけでなく、子供たちの現在および未来のためにも、お互いに語らいながら、連帯の輪を広げていくことが望まれます。

 

いま私たちは、原発問題で重要な岐路に立っていると考えられます。

ここに、「県民パワー」を奮い立たせて、行動することの重要性があります。

日本では、「原発マネーに溺れる」ことを住民が拒否して、既に進行していた立地計画を断念、凍結または白紙撤回させた事例が多数あることを忘れないようにしましょう。

芦浜原発(中部電)三重県南伊勢町・大紀町、串間原発(九州電)宮崎県串間市、珠洲原発(関電、中部電、北陸電)石川県珠洲市、豊北原発(中国電)山口県下関市、巻原発(東北電)新潟市西蒲区など。

 

いま残っているのは次の2件ですが、もはや実現する可能性はありません。

上関原発(中国電)山口県上関町(もともと、対岸に位置する祝島漁民の猛反対があり、6月末に二井知事が、公有水面埋め立て免許の延長を認めない方針を表明)浪江・小高原発(東北電)福島県南相馬市、浪江町8月初め、南相馬市の桜井市長が、建設に伴う原発交付金を辞退。「交付金は“まき餌”、受け取ると言いたいことも言えなくなる」)

 

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