いまだ浄化されず「日本人のカルマ」―原発の問題(アセンション時局’11

[201163]

 

 

東日本大震災と福島原発事故という空前の惨禍について思い至ったのは、これだけのことが日本に起こったのは、私たち日本人が何か大きなカルマを溜め込んできたに違いないということです。

今回の出来事につながるカルマは何か――それがわかれば、日本国および日本人の前途を予見することができます。

少し考えて直ちに出てきた結論は、それは「核のカルマ」であって、それ以外にはありえないということです。

 

歴史をさかのぼれば、明治維新から近代国家への歩みの中でも、大きなカルマの蓄積がありました。

極端な西洋の模倣、古き良きものの抹殺、富国強兵から軍国主義国家への傾斜。

日清戦争(1894-95)、台湾併合(1895)、日露戦争(1904-05)、朝鮮併合(1910)。

満州事変(満州侵略戦争:1931)、「満州国」樹立(1932)、支那事変(日中戦争:1937-45)、フランス領インドシナ進駐(1940-45)。

治安維持法・言論統制と弾圧(1925-45)、国家総動員体制(1938-45)、軍事政権(1941-45)。

太平洋戦争(第二次世界大戦:1941-45)。

――これらのカルマは、19458月のヒロシマ・ナガサキ原爆炸裂を契機とする終戦、そして「平和国家への蘇生」によって解消されているとみられます(原爆投下に対する「アメリカのカルマ」は解消されていませんが)。

 

「核のカルマ」は、その後の歴史を通じて蓄積されてきたもので、表面的な事象としては、国土の狭い地震国に54基もの原発を集積させてきたことです。

〔原発集積度=原発数÷1人当たり国土面積〕と定義して、原発による発電量上位5カ国ではこうなります(2008年データ)。

人口(百万人) 国土面積(ku) 原発数 1人当り面積 原発集積度

1.アメリカ 305.8  9,629,100  104   31.5   3.3

2.フランス   61.6    551,500    59     9.0   6.6

3.日 本  128.0    377,900    55     3.0  18.3

4.ロシア  142.5 17,098,200 27  120.0  0.2

5.ドイツ    82.6    357,000    17     4.3   4.0

これを見ると、日本が突出していることは自明です。日本に多い山岳地を除けば、もっと極端な数値になるでしょう。

そしてフランスとドイツは、「ヨーロッパプレート」に乗っており地震国ではありません。アメリカの原発は、地震が多い太平洋沿岸を避けて、中部と東部に立地しています。

 

日本は、「原爆の洗礼」を受けて「核」の脅威について十分学んだはずなのに、それを活かすことができませんでした。

古くは「平和利用」という美名のもとに、近年では「温暖化防止」を口実にして、「原発政策」を推進してきたのです。

原爆の「核」と原発の「核」は同根で、「人間」だけでなく、「地球(巨大な生命体である「ガイア」の肉体)」や「自然界の生きもの」を加害します。

原発などの核施設が平常運転されている場合でも、放射線による加害があります。

それは英セラフィールドや仏ラ・アーグの、核施設周辺住民の放射線被害で歴然としています。また、アメリカの原発周辺地域での疫学的調査の記録が本になっています:『低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』(ジェイ・マーチン・グールド)。これによると、平常運転されている原発の80キロ、160キロ圏ですら危険があります。

 

しかし、日本の「核のカルマ」の大半は、国内に原発を実現させてきた手法にあると見られます。

そのすべてに巨大な「札束」と、巧妙な「人心操縦」が絡んでいるのです。

まず次の金額規模をご覧ください。

・政府の原子力関連予算 約4,550億円/

・電源開発促進税(電気料金に上乗せして徴収され、電源立地地域交付金等の財源となる) 約3,500億円

14基の原発(「若狭・原発銀座」)を抱える福井県に落ちた交付金(19742009) 約3,200億円

・六ヶ所村再処理工場建設費 2兆円以上(1993年スタート時の見積 約7,600億円)

・六ヶ所村の固定資産税収入 約52億円(30年前の50倍)

・六ヶ所村の住民一人当たり所得 約1,360万円/年(青森県で2位の八戸市と1,000万円以上の差)

・原子力産業の市場規模 約1500億円/年(原発1基 約5,000億円、保守修繕費 3,000億円/年、核燃料費 5,000億円/年 等) 

・東電の設備投資 約6,000億円/年(10電力合計 約2兆円の3割)

・広告宣伝費(10電力+電気事業関連団体) 約1,000億円(内 東電 約240億円)

 

このようなお金が、いわゆる〔政・官・業・学+マスメディア〕の「鉄の結束」を通じて、原発立地市町村や一般国民を懐柔するために、どのように使われているでしょうか。

上記した原子力関連予算の、経済産業省の「取り分」は約1,900億円(資源エネルギー庁、原子力安全・保安院等)、文部科学省の「取り分」は約2,570億円(日本原子力研究開発機構等)です。

役人にとっては、予算獲得が生命線です。この2省が原発推進に懸命になる理由が、これだけでもわかるでしょう。

政治への影響力は、就任するや否や「省益」の代弁者になる大臣や副大臣を通じて、また政治家への「ご説明」によって発揮されます。

 

文部科学省は、学習指導(要綱)や教科書検定という「宝刀」によっても、中学生(公民教科)や高校生(社会科教科)を操縦します。

また、文部科学省と資源エネルギー庁が発行し配布する小中学校副読本として、『わくわく原子力ランド』(小学生用)、『チャレンジ! 原子力ワールド』(中学生用)、『教師用 解説編』などというものがあります。これらは原発の利点を解説し、「電力源のベストミックス」を強調しています。

それに加えて、電気事業連合会が発行するDVD『偉人たちとの授業〜放射線を知る』も、学校に無料で配布される仕組みで、原発の危険性より有用性を強調する洗脳教育教材になっています。

 

中央省庁の幹部から電力会社への「天下り」が、過去50年間に68人もいます。現在も13人が役員や顧問として在籍しています。

そして電力会社の「監督官庁」であるはずの資源エネルギー庁や原子力安全・保安院は、原発を推進する経済産業省に属しており、中立的な役割を果たすようにはなっていません。

これらのことを通じて、電力会社と経済産業省の癒着構造が生まれ、ここでの「談合」によって電力料金の体系や原発をめぐる様々な工作が行われています(これらについて勇気ある内部関係者の告発もあります)。

現に、「総原価主義(総括原価主義)」といわれる電気料金の決定方式では、電力会社が申告する総原価の一定率として利益を保証するので、原発を主体として設備規模を増やせば増やすほど利益が増える仕組みです。

ここから出てくる(原価に算入するものを含む)莫大な「原資」が、電力会社の潤沢な資金になり、実際のところ前面に出て「諸工作」を行うのは電力会社なのです。

 

政治家への働きかけは、例えば電力各社が加盟する「電気事業連合会」からの献金として行われます(主に自民党宛て)。

一方、民主党に対しては、「連合」の最有力労働組合組織である「電力総連」が、原発推進を暗黙の条件として寄付や選挙協力を行っており、それは地方政治にも及んでいます。「電力総連政治活動委員会」という組織の傘下に、「東京電力労働組合政治連盟」等の公然とした組織があることが、それを物語っています。

 

学会に対する働きかけは大学への寄付があり、それを受けて大学では、原発に関する「寄附講座」や「寄付研究部門」を開設して、「御用学者」が学生や社会を洗脳する活動拠点にしています。

それらの学者は同時に、経済産業省の指名によって、「原子力委員会委員」や「総合資源エネルギー調査会委員」や「原子力安全委員会委員」などに納まり、原発推進に「貢献」することになります(その「最大集積地」は東大です)。

この路線に乗らない「硬派の」学者は、「官」からも「業」からも「干される」ことになり、研究資金などでたいへん苦労することになるようです。

 

マスメディアへの働きかけは、上記した1,000億円という広告宣伝費が如実に物語っています。地域独占の電力会社は、本来ならゼロでも済ませるはずなのに、トヨタやパナソニックを上回る広告出稿をするのです。

中央や地方を問わず、マスメディアにとって安定した広告収入ほど有難いものはないので、「筆先の微妙な表現」でさえ、「広告引き揚げ」という事態にならないよう注意することになります。「報道は中立」というのは、神話に過ぎません。

それだけでなく、マスメディア幹部やOBへの接待攻勢は業界では「公然の秘密」のようなものらしく、東電会長の記者会見の席上でフリーランスの記者が、その会長自身が原発事故発生後にマスメディアOBを引き連れて海外旅行した件を問いただしたのは最近のことです。

 

このようにして、単に原発立地に関係する人々だけでなく、国民全体が「老若男女を問わず」、いつの間にか「原発容認」に傾いていくような広範で緻密な仕掛けに、それと知らず飲み込まれているのです。

それは原発の是非だけの問題ではなく、「原発文化」とでもいうべき、バランスを欠いたエコノミックアニマル的価値観で国民全体を牽引していく側面を持っています。

その延長上に、経済成長だけを至高のものとして、その根本的な矛盾や他の生き方に気づこうとしない姿勢があります。

これは、母なる地球や自然から遊離した人間の唯我独尊で、私たちが「アセンション」に向けて一刻も早く手放していくべきものです。

 

以上を総括すれば、今回の惨禍が起こるまでに日本人が溜め込んできた「核のカルマ」は次となります。

第一に、「核の教訓」から何も学ばず、人間の都合だけで、ここまで原発を増やしてきたこと。

第二に、それを実現するために、お金の力によって、有無を言わさず強引に事を進める人倫に反するやり方をしてきたこと。

第三に、「官」と「業」の癒着構造のもとで公正を欠いたやり方によって、「無数の欺瞞」に国民全体を巻き込んできたこと。

 

ここにいう「無数の欺瞞」は、挙げればキリがないほど多岐にわたっていますが、上記した以外のものを少し補足しておきましょう。

1.         使用済み核燃料を「再処理」することによって溜め込んできた「超危険物質プルトニウム」の実態を曖昧にしたまま、再処理の「国産化」を目指して、六ヶ所村に巨大再処理施設を建設しようとしています。プルトニウムの量は、過去に情報の一部を公表していた時点で既に50トンあったので、おそらく現在は100トンを越えているのではないでしょうか。ちなみに、原爆の「実用化」を目指した「マンハッタン計画」で、アメリカが20億ドルの巨費を投じて抽出した濃縮ウランとプルトニウムは僅か45キログラムです。その一部が「ヒロシマ」と「ナガサキ」で使われたわけです。

 

2.         危険な放射性核廃棄物は原発の正常運転や「廃炉」によって発生するものだけでなく、「再処理」をすることによって、さらに増える(英・仏への再処理委託によって発生したものも「返還」される)ことになり、中には何万年も放射線を出し続けるものがありますが、それをどう処置するかのメドがまったく立っていません。確かな展望が無いまま、なし崩し的に六ヶ所村を「核のはきだめ」にしようとしています。いま六ヶ所村にある巨大な「原子燃料サイクル施設」群で行われていることは、まさに「この世の地獄絵」です。――@ウラン濃縮工場(92年〜操業)、A再処理工場(2012年操業予定)、B(プルサーマル向け)MOX燃料工場(2016年操業予定)、C高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(95年〜操業)、D低レベル放射性廃棄物埋設センター(92年〜操業)・・・・・これらはいずれも、国内には他にどこにも無いものです。そして操業に伴って大量の放射性廃棄物を含む液体が出るので、その一部が海水に放出されることが懸念されています(例えば半減期が1,570万年のヨウ素129)。これらプラントを構成する配管の総延長は1300km、うちウランやプルトニウムの溶液が流れるものだけで60kmあるといわれています。この付近に多い活断層のどこかで、巨大地震が起こったらどうなるでしょうか。

 

3.         原発は「クリーンでゼロエミッションのエネルギー源(当局の言い分)」であるだけでなく、最も安価なエネルギー源だと思わせるために、様々な関連費用を除外または減額したコスト計算を行っています。例えば、国が出している研究開発費や立地対策費、使用済み核廃棄物の冷却処理費用、安全対策費用、土壌の除染費用、廃炉のコストなど。さらに、正直に見積もれば天文学的な金額になると思われる、核廃棄物の最終処分費用や、事故に伴う賠償費用もあります。それに加えて、実態は35%程度しかない原発の稼働率を、計算上過大に見積もっています。原発は「最も高価なエネルギー源」だというのは世界の常識で、それを知らされていないのは日本人だけなのです。

 

いかがでしょうか。

311」から今日までの「小手先でお茶を濁す」対応を見れば、日本人が溜め込んできた「核のカルマ」は、すでに浄化されたと断言できる人は1人もいないのではないでしょうか。

宇宙で起こるすべてのことは、一つひとつに多面的な狙いが重層的に乗せられており、また同じ目的を達成するにも様々な方法があります。

今回の「核のカルマ」を浄化するには、上記した「日本独特の事情」を考慮すれば、10年後に撤退するという「ドイツの真似」では不十分でしょう。また、国民投票にかけるという「イタリアの真似」は、ここまで国民の意識が操縦されている現状では、何の意味もありません。

日本政府が、過去の経緯と現状、そして「欺瞞の構造」をすべて公表した上で国民に謝罪し、全原発の即時停止を求めれば、間違いなく多数国民の賛同が得られ、それを実現することができるでしょう(原発をめぐる日本の現状は、多年にわたる自民党の実質的一党独裁政権下で築かれてきたものだから、自民党の方たちが―河野太郎氏は別として―それに賛同することは期待できません。それができるのは民主党しかなく、こうした点に国民の民主党政権への期待があったはずです)。

事あるごとに「アメリカの顔色を伺う」習慣を卒業して、「日本独自の決定」を世界に発信してこそ、宇宙やガイアに評価されるでしょう。

それは、「カルマの浄化」と「社会的危険の物理的除去」という、二重の安全策を講じることになります。

 

「幸いにして」というべきか、全国に54基ある原発の多数が地震や定期検査等で現に停止中で、この夏までに定期検査で停止する予定になっているものをそれに加えれば、実質的に「新たに停止」するのは12基だけです(東電・柏崎刈羽2、関電・美浜、大飯各1、関電・高浜2、中国電・島根1、四電・伊方2、九電・玄海2、九電・川内1)。

このうち、東電を除く各社は60hz(ヘルツ)圏なので、需給の変動に応じて相互融通が可能です。東電に関しては、安全点検のため全原発を止めたことが過去にあります(http://gaia-as.universe5.com/current3c.html「原発なしでやっていける日本」---ここに書いてある「資産基準主義」は、その後「総原価主義(総括原価主義)」に変更されていますが本質は変わっていません)。

いずれにしても、官民挙げてどれだけ真剣に節電に取り組むかという問題だけで、凌げない話ではないでしょう。

 

もし、このカルマを日本人が自ら浄化するつもりがないなら、宇宙は(そしてガイアは)、先の巨大地震の「ほとぼり」が冷めないうちに、日本人に対して次の「ウェイク・アップ・コール」を準備しなければならないことになるでしょう。

それが先の地震と同程度では、「頑固な日本人(日本政府)」が「目を覚ます」ことにはならないでしょうから、それを上回る規模のものが必要になるでしょう。

仮にM9.0でなくM9.5(強度が6倍)の地震が、東南海(紀伊半島沖)や南海(四国沖)で起これば、「若狭・原発銀座」はひとたまりもないでしょう。もちろん、若狭湾周辺で巨大地震が起こる可能性もあります。

すでに十分経験してきたように、「体験済みの事故」が起こることは希で、多少の津波対策をやれば済むというものではありません。

「若狭・原発銀座」の原発は、加圧水型に特有の「蒸気発生器」を持っており、蒸気タービンへは放射性物質が行かないという利点がある反面、配管を含めた全体構造はより複雑になっています。

地震で、核物質を含んだ配管が破断する可能性は大いにあります。

 

いま私たち日本人は、重大な岐路に立っています。事は一刻を争うのです。

皆さん一人ひとりが、真剣にこの問題を考え、確かな自分の意思を持つようにすることをお勧めします。

そして、その意思を実現するために、今できることに取組もうではありませんか。

 

【関連】

復刻『タスマニアの羊』(1993年)―原発を正しく理解するために―

 

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