[特別写真読み物]
被災地〔宮城・岩手〕沿岸部の現状を実見・(アセンション時局’12)
[2012年 3月28日(3月18-19日撮影)]
【概括】
・2012年3月18日から19日にかけて、宮城県の岩沼市、名取市、仙台市若林区、松島町、南三陸町および気仙沼市、そして岩手県の陸前高田市の、それぞれ沿岸部を見て回りました。
・クルマで走行したルートとしては、東北自動車道を白石ICで降りて国道4号を北上し、岩沼市の末広交差点から二の倉海岸へ。その先は、走行可能で沿岸に近いルートを選んで北上し名取市、仙台市若林区へ(以上が第1日)。
翌日は、仙台東ICから仙台東部道路に乗り、三陸自動車道を経て松島海岸へ。松島の後は松島北ICから三陸自動車道を桃生津山ICまで走行し、その先は主に海沿いの国道45号を北上しながら、部分的に県道や市街地の道路を走りました。
これらのルートは、今でも続いている道路の修復作業のための交互通行や渋滞がありましたが、特に松島北ICから先は、かなりスムーズな走行が可能でした。
・その一方、途中で部分的に目にしたJR気仙沼線(登米市・柳津−気仙沼)やJR大船渡線(気仙沼−大船渡−盛)などの不通区間は、ほとんど壊滅状態で、再建は現実的なテーマにならないのではないかと思われました。
・全体の印象としては、海沿いや漁港近くの激甚被災地は、瓦礫の集積がやっと終わった段階で、被災エリアに僅かに残った建物などは、そのままの状態で放置されており、その先の展望は見えてきません。
岩沼市や石巻市で具体化している集団移転は一つの方向を示していますが、養殖や水産加工を含めた漁業をどう再建するかという大問題が別にあります。
三陸の海は素晴らしく立派に残っており、例えば気仙沼の広大な魚市場は大部分が健在で、昨年6月から水揚げが再開されています(但し、昨年7月から今年2月までの水揚げトン数は、前年度同期の3割にとどまっており、そうした影響の大きさは、特に東北や関東エリアの食生活に如実に現れています)。
漁船や港湾・養殖施設の再建と従事者の生活エリア確保は難題でしょうが、「そこに海があるかぎり」一歩一歩前に進めていけば早晩解決できるでしょう。
問題は原発事故が、風評被害を含めて、それに影を落としていることです。
福島漁協が、これまで行ってきた沿岸漁の操業自粛を4月以降も継続する決定をし、宮城県の漁協も4月からスズキなどの沿岸漁を自粛しようとしています。これは、全国の漁業者にとって、決して他人事ではないでしょう。
海には境界や仕切りはないので、放射性物質は月日と共にどこまでも拡散します。また回遊魚が漁獲の大きい部分を占めています。そして小さい魚から大きい魚への食物連鎖は、自然界の基本的な営みです。いくら声高に「安全」を叫んでみたところで、それらを「防止」することは不可能でしょう。
「原発事故さえなければ」という思いは、福島県の被災者だけでなく、全国の漁業従事者に共通しているはずです。
二度と原発事故を起こさせない確実な手段は、原発を稼働させないことしかないでしょう。中国電力上関原発の着工を阻止しようと頑張っている、山口県祝島の漁業者は正しい判断をされています。
全国54基の原発のうち、北海道の泊原発3号機を除く53基が現に停止しており、5月には全原発が停止します。それでも、企業活動や市民生活にほとんど影響がないことはご覧の通りです。企業や家庭には、状況に応じて節電する知恵がいくらでもあるのです。
あれこれと理屈を造って原発を再稼働させようとする策謀を、絶対に現実化させないようにしましょう。
【2012年3月の状況】
【注】
・下の小写真(サムネイル)をクリックすると拡大します。ブラウザの〔戻る〕ボタンをクリックするなどして戻ってください。
・複数の写真に対する説明は、@,A,Bが写真の左から右の順に対応します。
【宮城県・岩沼市】
@補修中の国道4号。
AB二の倉工業団地。工場の標識は外されている。(岩沼市二の倉海岸)
@被災したクルマの一時集積エリア。左側の海沿い道路は通行禁止。(岩沼市二の倉海岸)
A道路施設の損傷と引かない海水混じりの水。遠方の木々は海岸線。(岩沼市押分)
【宮城県・名取市】
@閖上(ゆりあげ)漁港の周辺は広大な更地になっている。僅かに残った建物は無人。(名取市閖上)
【仙台市・若林区】
@荒浜地区の状況。右遠方は閉鎖中の荒浜小学校。(若林区荒浜)
A荒浜海岸にある慰霊塔。津波は前面の堤防を難なく超えた。(同)
B津波の威力。(荒浜海岸の公衆トイレ)
【宮城県・松島町】
@A何事もなかったかのような松島。市街地も同様。(松島町松島)
JR仙石線は仙台から松島海岸の一つ先(高城町)まで開通している。
【宮城県・南三陸町】
@消滅したJR気仙沼線・陸前戸倉駅(トンネルの手前にあった)。(南三陸町戸倉)
A美しい海岸が残る志津川湾。(同)
@集積された瓦礫の山(南三陸町志津川)
A廃墟と化した公立志津川病院などの建物。(同)
Bビル2階部の津波による被災状況。(同)
@南三陸町中心部の状況。(南三陸町志津川)
Aビルの屋上に打ち上げられたクルマ。(同)
【宮城県・気仙沼市】
@気仙沼港周辺。(気仙沼市仲町)
A気仙沼魚市場南端の被災状況。(気仙沼市魚市場前)
B休日の魚市場をカラスたちが占拠。(同)
@破壊されたフェリー発着場と土嚢の防潮堤。(気仙沼市潮見町)
大島へのフェリーは別の場所から発着している。
ABJR大船渡線・鹿折唐桑駅(休業中)の付近に打ち上げられた大型船。(気仙沼市新浜町)
【岩手県・陸前高田市】
@道の駅「高田松原」付近から海側の状況。(陸前高田市気仙町)
約7万本あった松で1本だけ津波に流されず残った「奇跡の一本松」は、昨年末の調査で根が腐って枯れており回復の見込みはないとされているが、国道から見たところ、幹の下部にテーピングされた状態で立っており、針葉も残っていた。
A同上の拡大写真(「野外活動センター」方面)。(同)
B同・山側(旧市庁舎、旧マイヤ高田店)方面。(陸前高田市高田町方面)
【関連】
・大震災&原発事故の一端を実見・[2011年 4月30 日(4月28日撮影)]
[ホーム]
Copyright© 2012 Eisei KOMATSU