おわりに

(本稿は、99年7月刊/風雲舎『混迷の星 - 宇宙から見た地球人類』の、「おわりに」の全文です)

この著作は、目前に迫っている、人類の歴史における最も重要な出来事「ガイア・アセンション」について、知らせることを目的として書きました。お気づきと思いますが、第1章から10章までは、直接「アセンション」をテーマにしているわけではありません。それは、ほとんどの人の認識や関心事が、「アセンション」からあまりにも遠いところにあるだけでなく、人類の現状は、どちらかといえば混迷の泥沼に浸っていて、「アセンション」どころでないとみえたからです。人類の現況と混迷の本質を、正確に認識しないことには、「アセンション」の入り口にもたどり着けないと考えたのです。そうして、各章の中にさりげなく、「アセンション」への「通路」を埋め込むことにしました。

個人的なことになりますが、ずっと以前から、この地球で一般的に行われている、あらゆる事象を「細分」し「分類」し「専門化」するというやり方に抵抗がありました。それは、社会の運営において便利なことも確かにありますが、同時に、個人の関心や認識や判断を、狭い領域に閉じ込めることに「貢献」しているのではないか、という思いがありました。何かにつけ「その道の専門家」に頼らないと完結しない---この「策略」に、絶対にはまらないぞ、と。「自分の判断」を持つために、すべての分野にバランスよく深入りするように努めてきました。そして、各分野の「つながり」や「相互作用」、そこから見えてくる「全体」などに、関心を持ってきました。

25年ぐらい前から、「地球」「人類」「未来」というキーワードに焦点が合ってきました。地球の立場でものを見るということは、「廃棄からの発想」とほとんど同じことだと気づきました(少なくとも、この地球の現在の在り方では)。これをやると、これまで見過ごされていた、事柄の本質が見えてきます。一方、未来から振り返って現在を見ることは、関心の主体を現在よりも未来に置くだけのことで、意外に簡単です。ただし、未来は固定的なものではなく ”moving target” なので、絶えず照準を定めなおす必要はあります。これは、ふだん見えないものを見るための、最も簡単な方法だと分かりました。

「ガイア・アセンション」を確信したのは比較的遅く、1996年に入ってからです。もし私が、上記の関心に加えて「高次元のジャングル」に踏み込んでいなかったら、大多数の方と同じように、この重要な事実を見逃していたと思います。この「ジャングル」は、「神々」や「高度に進化した宇宙存在(HEB)」をはじめとして、悪霊から低級霊に至るまで、あらゆる「存在」または「個性的エネルギー」が棲む領域です。もちろん、自分の本体(真我、ハイアー・セルフ)も、そこにいます。一口に高次元といっても、4次元から「神」の次元まで、無数の段階があります。これが、なかなかの「くせもの」です。しかし、私の関心において、この領域の「探査」は、欠かすことができませんでした。なぜなら、私たちが感知するインスピレーションのほとんどは、高次元から来ていると分かったからです。もう一つ、「地球の科学は真実をつかんでいない」という直感が、始めにありました。

「高次元のジャングル」を「くせもの」と形容したのは、こういうことです。例えば、普通以上の感度を持っていて、高次元からの「通信」を受けることのできる人は、例外なしに、それが「神々」やHEBなどの、高い領域から来ていると思い込み、そのように「公表」します。ところが、それらの人々が、必ずしもハイレベルの情報を「受信」しているとは限らないのです。なかには、受信者や周りの者を混乱させて楽しんでいる「個性的エネルギー」もいます。低級霊や動物霊でさえ、いわゆる霊能者に「現象」を起こさせることができるのです。こうして、無数の「自称神様」が「誕生」し、それを「信仰」する人たちが生まれています。また、発信側がポジティブで善意の存在だとしても、その固有波動のレベルによって、「情報力」はまったく違います。物理的な法則として、自分の波動より下の世界は見えますが、上の世界は見ることができず、「視界」に限界があるからです。さらに、「宇宙の知的生命体」については、単に情報の隠蔽だけでなく、意図的にもっともらしいニセ情報を流して、何が真実か分からなくする「努力」が、「その筋」によって一貫して行われています。

こういう次第で、いったんこの「ジャングル」に踏み込んだら、そこから「正しく」脱出することは、簡単ではありません。例えて言えば、推理小説の謎解きのようなものです。一つの情報が、いくらでも枝分かれして、検証すべき素材が限りなく増えていきます。それら膨大な情報に、綿密にクロスチェックをかけていく必要があります。私が、この「ジャングル」の迷路を解明するのに、25年近くかかったのはそのためです。これを、さりげなくオフィスワークをこなしながらやってきたので、周りの人は気づかなかったかもしれませんが。「真実の探求」という、この「趣味」以上に楽しいものは、他には思いつきませんでした。これは、個人としてはもちろん、ビジネスの世界でも「実益」があります。なぜなら、やがて分かることですが、高次元こそが真実の世界で、私たちが強固な現実だと思っているこの3次元の世界は、実は、私たちの集合意識が創った「幻想(スーパー・ホログラム空間)」だからです。

1999年1月末に、一冊の本を発見して、びっくりしました。私が25年かかって調べ上げたエッセンスを、全部書いてあるではないか! 『神との対話(第2巻)』です。2月に、当時まだ邦訳が出ていなかった第3巻の原著も読みました。その後、比較的個人的なことを扱った、第1巻も読みました。この本があるので、もう皆さんは、私のように「ジャングル」をさまよう必要はありません。ただ、論理(つまり、教わったこと、知っていること、そして地球の科学が解明した範囲)によって納得しなければ気が済まないという人は、至るところで、引っ掛かるでしょう。このような人は「論理の人」です。それに対して、「これは確かに神様が言っていることだ、全部そのまま信じよう」と思える人は、「感性の人」です。このような人は、これからの激動の時代に、ついていけます。「論理の人は哀しきかな」です。地球の科学の限界が、そのまま、個人の限界になってしまう恐れがあります。「全宇宙の知識」を、簡単に手にすることができる時代なのに、もったいないことです。しかし、「感性の人」に変容することは、それほど難しくありません---例えば瞑想によって。

本著は、「情報ボランティア」として、インターネットの私のホームページに、1998年初頭から1年間にわたって掲載した「ガイア・アセンション」シリーズ第1部の内容を、最近のデータによって補訂し、それに第11章「アセンションへの道」を追加したものです。ホームページでは、1999年からは、「ガイア・アセンション」シリーズ第2部の『地球人の覚醒』に入っています。

風雲舎社長の山平松生氏に感謝します。時代認識を共有する同氏との出会いがなければ、この本は生まれませんでした。また、普通なら簡単には起こらないこの出会いを、E-メールという「武器」によって実現させてくださった双方の友人たちに感謝します。さらに、インターネットという「現代の奇跡のインフラ」を支えている、多数の地球市民に感謝します。

1999年夏至の日に

小松英星

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[シリーズ第1部「混迷の星」の目次(contents)]

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