アセンション・オンゴーイング

 

[11] 何を食べればいいのだろう(私の選択)

 

日々に狭められる選択肢

 

生鮮食品の原産地表示が、かなり徹底的に行われている近所の生協系スーパーのある日の店頭で、次のような「光景」が見られました。

 

果物・野菜のコーナーでは、グレープフルーツ(スワジランド)、同(南アフリカ)、キウィフルーツ(ニュージランド)、バナナ(エクアドル)、同(台湾)、同(フィリピン)、マンゴー(フィリピン)、レモン(米カリフォルニア)、トレビス(アメリカ)、ミニキャロット(アメリカ)、アボガド(メキシコ)、ライム(メキシコ)、レホール(ベルギー)、チコリ(オランダ)、パプリカ(オランダ)、アスパラ(ニュージランド)、オクラ(タイ)、細切りタケノコ(タイ)、チンゲンサイ(中国)、タアサイ(中国)、皮むきサトイモ(中国)、にんにく(中国)、唐からし(中国)、タケノコ水煮(中国)、山菜ミックス(中国)、わらび水煮(中国)、ぜんまい水煮(中国)、メンマ水煮(中国)。

 

魚介類のコーナーでは、紋甲いか(タイ)、赤いか(タイ)、赤えび(アルゼンチン)、銀むつ(チリ)、塩さけ(チリ)、同(アラスカ)、いくら(アラスカ)、甘塩たら(アラスカ)、サーモン(ノルウェー)、カラスガレイ(アイスランド)、たこ(アフリカ)、活しじみ(中国)、はまぐり(中国)、マグロ(大西洋)、めかじき(オーストラリア)。

 

一見、食品の選択肢が広まったようですが、実際はそうではありません。これに見合って、国産の近場の商品は、日に日に店頭から姿を消しているのです。ご承知のように、同じことが、穀類、砂糖、豆類、種実類、肉類、乳製品、油脂類などでは早くから起こっており、ついに「本丸」まで迫ってきた感じがします。遠くから食品を運んでくることは、輸送のため無駄なエネルギーを使うだけでなく、鮮度にも問題が出てきます。加えて、現地での育て方や取り扱い(特に、「遺伝子組換え」の有無)、その過程での薬品類の使用などの基準もまちまちで、簡単に信頼することができない事情があります。

 

[参考1(食糧輸入の現況)]大まかにでもこれを頭に入れておくと、日常の食品選択に際しての指針となります。国内生産を輸入が大きく上回っているのは、穀類と豆類です。穀類では、飼料用のトウモロコシを大量に輸入しています(食糧輸入の第1位、加工食品に回るものも多く加工用穀物の6割を占める)。また小麦と豆類は、9割前後を輸入しています。魚介類は、既に輸入が半分を超えています。果実、イモ類・でんぷん類、そして野菜はそれぞれ輸入が3割、15割、そして1割を超え、急速に増えつつあります。この他、表面的には国産であっても、飼料や原料のほとんどを輸入しているため、実質的に輸入に依存しているものは、肉類、鶏卵、牛乳・乳製品、油脂類そして砂糖類です。このようにみると、純国産である程度まかなえている食品は、コメ、果実、イモ類・でんぷん類、野菜、そして魚介類などに限られます(加えて、量は多くないが、種実類、きのこ類、海藻類などもあります)。

 

[参考2(遺伝子組換え食品)]遺伝子組換えの技術は、作物の遺伝子に動物やバクテリアの遺伝子を取り込むなど、それこそ「何でもあり」の世界です。現在認められている作物は、トウモロコシ、ナタネ、トマト、ワタ、ジャガイモ、ダイズ、テンサイ、カボチャ、ハツカダイコン、パパイヤ、アマ(亜麻)などで、アメリカで44種、カナダで42種、イギリスで19種です。そのほとんどが「農薬耐性(大量のまたは特定の農薬に対して耐性を持ち、除草が簡単)」のものです。

これらは、次のように、輸入原料を通じて、日常の食品の中に、広範に入り込んでいるといえるでしょう。ダイズ(醤油、味噌、豆腐、食用油)、トウモロコシ(ブドウ糖、コーン油、ポップコーン、マーガリン、コーンスターチ、ビール、ジャム)、ナタネ(カノーラ油、乳化剤、ドレッシング、揚げ菓子、てんぷら)、ジャガイモ(フライドポテト、ポテトチップ、ハム、コロッケ)、ワタ(綿実油)。なお、いまのところ、EUと日本では、組換え作物は作られていません。また、日本のビール会社は、原料のコーンスターチを遺伝子組換えでないものにしているはずです。

 

更に、こうした状況は、既にそのプロセスを歩んでいる日本の農漁業をいっそう疲弊させ、いざというとき深刻な事態になりかねません。しかし消費者が賢明であれば、この状況を変えることができます。鍵は、生産者や流通業者ではなく、消費者が握っているのです。最終需要者である消費者の選択が、流通から生産へとフィードバックされ、それによって全体の「構図」が変わってきます。

 

基本方針

 

現代の「食」をめぐる最大の問題は、とりわけ先進国では、「食」を通じてのからだの「汚染」です。通常の生活で得ることのできる食品で、体に有害な要素を全く含まないものは、ほとんどないといっても過言ではないでしょう。1回の食事だけなら、その影響は大きくないでしょうが、1年に1000食が積みあがると、どう選択するかによって甚大な差が出てきます。そこで、毎日摂取する食物による体の汚染を、体が本来持っている自浄能力以下の水準にとどめ、それによって、過去に取り込み蓄積されているものを含む、からだ全体の浄化を前進させることを目標としています。

 

l  主食など、ほとんど毎日同じ品目を継続的に食べるものについては、銘柄や調達先を方針として決めて、(それ自体を見直す機会が来るまでは)それに従う。

l  輸入食品は、素材について、またそれを原料として含む加工品についても、原則として避けるようにする(理由は上記)。

l  生鮮食品は、なるべく「旬」のものを、その時期に食べるようにする。これは、生命エネルギーや味のピークを摂るだけでなく、価格面でもメリットがある。また魚などは、養殖されたものを避ける。

l  できるだけ素材から調理するようにし、原料の素性が明確でない加工食品を避ける。同じ理由で、調理済み食品の購入や外食を少なくする。

l  購入の際、加工日や消費期限、また原料や添加物に注意する。

l  実際に食べる際には、どんなものでも、「からだに良い」と思って感謝して食べる。


以上が一応の基準ですが、これを厳格に守ろうとすると労力も経費も大変なので、店頭の状況に応じて臨機応変にやっています。

 

お米とパン

お米は、有機栽培(無農薬)の玄米を、近くの自然食品店で買っています。有機栽培の認証ラベルがついています。値段は有機栽培でないお米より高くつきますが、玄米の場合は、「無農薬」を重視するべきだと考えています。玄米は栄養価が高く、また自然にたくさん噛むので、白米より少量で足ります。

 

パンは、国産小麦だけを使用した自家製のものを、近くのパン屋さんから買っています(来年から、フスマを2割含むものにする予定です)。これも市販の大手メーカーのパンよりかなり高めですが、その差は、家計費全体からみれば取るに足らない金額です。なおパンには、マーガリンやジャムでなく、バターを塗っています(理由は後記)。

 

ヨーグルト

牛乳を飲むのでなく、ヨーグルトを食べるようにしています。日本人など白人以外の民族は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)を全く(または少ししか)持たない「牛乳不耐」の人が多いのですが、ヨーグルトを発酵させる乳酸菌がラクターゼを持っており、これが腸に達して乳糖の消化を助けるのです。また乳酸菌自体も、腸内の「善玉細菌」です(腸に到達する前に一部が胃酸のため死滅することはありますが)。

 

ヨーグルトを購入する場合、できるだけ「100%生乳」のものを選ぶようにしています。しかし残念ながら、近所のスーパーでは、ほどほどの価格のものを継続的に入手することはできません。ほとんどの市販ヨーグルトは、牛乳と「乳製品」を原料としているのです。この「乳製品」の実態は脱脂粉乳ですが、その由来も使用比率も全く表示されていません。しかし、やむをえず、この種のものを購入することが多くなっています(脱脂乳は、牛乳からクリームを取った残りです)。

 

一方、日本では20027月以降、「牛乳」の表示が許されるのは「100%生乳」のものだけとなりました。そこで、ヨーグルト菌を入手して、「牛乳」から自分で造るのが最善ですが、旅行などで留守の時の管理が面倒で、今のところやっていません。日本で得られる「生乳」は、すべて国産だから、現在採用されている殺菌方法が守られている限り安心できます。といっても、牛の育て方や餌(遺伝子組換えしたものを含む輸入飼料)まで遡ると、必ずしも万全とはいえませんが、そこは目をつぶっています。

 

ヨーグルトは、蜂蜜をかけて食べています。2割ぐらいオリゴ糖(乳酸菌[ビフィズス菌]など腸内「善玉細菌」の栄養)を含む蜂蜜です。それで、もともと添付されているグラニュー糖の子袋がどんどん溜まってくるので、半年に1回ぐらい、地元のバザールに提供しています。

 

ニワトリの名の通り、野外または解放鶏舎に放し飼いにした鶏の卵が理想ですが、今のところこのルート作りが面倒で、近くの養鶏場の直売所から買っています。ここは、鶏舎の周りに壁がなく、空気の流通という意味で「開放的」で、鶏はそれぞれ仕切られた部屋で飼われているものの、それなりに運動できるようになっています。特長は、穀類や魚介類、海藻など天然の餌だけを、添加物を一切加えないで、使っていることです。黄身は、濃い橙色です。

 

卵の食べ方としては、シラス干しをたっぷり入れて、オムレツ風に焼いています。

 

野菜、果物など

野菜も果物も、国産のものだけを買うようにしています。国産を選ぶ理由は「基本方針」の通りです。「農の現場の実情」を考慮して、見かけにこだわらないで買うようにしています。そして現状では、「有機栽培」には限定はしないで、残留農薬を考えて、使用前に良く洗うようにしています。なお、農薬が直接かかる、イチゴやサクランボは敬遠しています。お茶は、全面的に有機栽培にしたいところですが、「もらい物」などもあって、まだ実現していません。

 

動物の中で人間と猿は、ビタミンCだけは体内で合成できないので、食品から必要量を摂るわけですが、通常入手できるものでは柑橘類と柿が代表選手となります。しかしこれらのほとんどは「栽培品種」で、生命力おう盛な「野生種」の果物を入手することは、たいへん困難になってきました。そこで、次善の選択肢として、ハウス物など促成栽培のものを避けて、なるべく「旬」の時期に食べるようにしています。


[参考3(ビタミンC)]代表的な果物の可食部100グラム当たりビタミンC含有量は、温州ミカン・いよかん(35mg)、夏ミカン(38)、はっさく(40)、甘柿(70)、渋抜き柿(55)、露地メロン(25)、温室メロン(18)、キゥイフルーツ(69)、いちご(62)、もも(8)、りんご(4)、ぶどう(2)。[五訂日本標準食品成分表]

[参考4(栽培品種)]柿は特別な処理をしなくても、種無しで果実が大きくなる珍しい植物で、「平核無(庄内柿、たねなし柿、おけさ柿など)」や「刀根早生」などの種無し柿は、突然変異種から苗木を作って(それを台木に接ぎ木して)増やしたものです。いずれも渋柿で、「脱渋」して(渋を抜いて)出荷しています。

また、甘柿の「富有柿」には種がありますが、これも苗木から増やしたもので、花芽はすべて雌花です。そこで、実を大きくするために、柿園の中に別の品種の(雄花をつける)花粉木を植えて受精させているもので、その種から「富有柿」が生えてくることはありません。

ミカンの代表である「温州(うんしゅう)ミカン」も同じように「偶発実生」から生まれた「栽培品種」で、「単為結果性」を持ち、受精しないで子房が肥大して種無し果実になります。

今ではブドウも、ほとんどが種無しですが、これらは、花穂を「ジベレリン」という植物成長ホルモンに浸して、促成栽培したものです。いわば、成長させたというよりも、膨張させたという感じです。


魚介類

動物性タンパク質の、主な供給源としています。そしてできるだけ、近海のイワシ、アジ、サンマ、サバ、カツオなどを食べるようにしています。現在の海の汚染状況では、有害化学物質を含まない魚介類は皆無ですが、マグロなど食物連鎖の上位のものほどその蓄積(濃度)が高くなっています。現にアメリカでは、健康食のつもりでマグロやメカジキを多く食べる人の、水銀中毒の多発が問題になっています。

 

一方、イカやタコも、努めて食べるようにしています。カキやホタテも食べます。これらは、それ自体コレステロールを多く含むものの、それを分解するタウリンを多く含むので、全体として体内のコレステロール値を下げる効果があります。

なお、輸入ものや養殖ものを、なるべく避けるようにしています。


[参考5(養殖魚介類)]国産の魚で養殖の比率が高いものは、ブリ類(ハマチなど)、マダイ、ヒラメ、クルマエビ、マス、アユ、イワナ、コイ、ウナギなどですが、加えてアジ(活魚用)、シマアジ、カンパチ、マダコ、マグロ(成魚の「蓄養」という方法でやる)なども養殖されるようになりました。寿司ダネのサーモンやアナゴもほとんどが養殖ものです。いま、養殖ものが(全くまたはほとんど)流通していないと考えられる魚は、イワシ、アジ(近海もの)、サンマ、サバ、カツオ、タラ、サケ、イカ、シシャモなど、ごく僅かの品種になってしまいました。なお、カキやホタテも養殖されますが、これらは海面で無給餌で育てるので、少し性格が違います。

養殖は、食糧資源の利用法としてたいへん効率が悪く、例えば、個体を1キロ増やすのに必要な餌(イワシなど)の量は、ハマチ約8キロ、タイ約10キロ、クルマエビ約30キロ、タコ約3キロです。加えて密飼いによる病気と抗菌剤の投与(実質的に野放し状態)、魚網に塗る防汚剤(有機スズまたは代替品)による海面汚染など、問題が多々あります。餌に、例のBSEで問題になった「肉骨粉」が含まれている可能性もあります。

[参考6(輸入魚介類)]魚介類の輸入は年々増えて、エビ類、マグロ・カジキ類、サケ・マス類、カニ類、タラ類などでは、供給量の約半分またはそれ以上を占めるまでになっています。また、アサリ、シジミ、ハマグリ、アワビなども、国内生産と同量から半分程度が輸入されています。ツブ貝やアオヤギも輸入されており、「寿司ダネ」などの見分けは、ほとんど不可能になってきました。この他にも、冒頭に書いたように、多種多様の魚が輸入されており、更にタラなどの「すり身」も大量に輸入されています。


肉類

なるべく食べないようにしています。食べない順に挙げると、牛肉、豚肉、鶏肉です。いずれも飼育法、それに関連するホルモン剤や抗菌剤の投与など、「食べる元気」がなかなか出ない事情があります。例えば牛について、一度でも飼育の実情を知れば、ホルモン剤に関してアメリカとEU とが激しく対立している、当該食肉の発ガン性の有無、人体のホルモン・バランスへの影響の有無、残留許容濃度設定の要否などの「科学的論点」など、どうでもいい話になります。

 

食糧資源の利用効率でも、肉類は養殖魚と同じことが言えます。例えば、1キロの肉を得るために必要な、トウモロコシなどの飼料穀物が、牛肉は約20キロ、豚肉は約65キロ、鶏肉は約45キロです。

 

動物性タンパクは、魚介類から摂ることができるし、その方が油の性質が(新鮮であれば)からだに良いのです。

写真1アメリカ・カンザス州の畜牛飼育場」(『食糧資源の現況と未来(平成7年版)』)

写真2青森県の放牧場風景」(同上)


写真1は、これがすべてではないでしょうが、アメリカ流の大量飼育の典型を示すもので、どう見ても「愛のある育て方」とはいえないでしょう。しかし、写真2が日本の典型とはとても言えません。日本でも、狭い牛舎で過密な育て方をしているところはいくらでもあります。しかも、「国産牛」と表示された肉の大半は、乳牛のオスを去勢し、これに肉質改善のため女性ホルモンを投与して飼育したものです。

豚や鶏も、ほとんどは、密集飼いから来る病気のため薬漬けで飼われています(鶏は、動きを少なくしてエサの効率を上げるため、窓のない真っ暗な鶏舎で飼われるのが一般的です)。

[
参考7(アメリカ対EU 「ホルモン戦争」)]牛の肥育促進と肉質改善のために、いま使われている女性ホルモン剤は、天然型が2種(プロゲステロンとエストラジオール)、合成型が2種(ゼラノールとメンゲステロール)あります。男性ホルモン剤としては、天然型のテストステロンと合成型のトレボロンがあります。これらを畜産に使用することについて、アメリカはすべてを認めており、EUはすべて禁止です。日本は、例によってアメリカの顔色を見ながら揺れ動いている感じで、天然型だけを認めており、前述のように実際に使用されています。

女性ホルモンの典型的な投与の方法は、プロゲステロンとエストラジオール複合剤を含むペレットを、去勢した雄牛の耳翼皮下に打ち込み器を用いて埋没させまることです。出荷前に7日ほど、休薬期間をとることになっています。この投与は、牛自体にも様々な副作用があり、それらが製薬メーカーの仕様書に明記されています。

「ホルモン戦争」は、EUがアメリカ産の畜肉の輸入を禁止したことから「勃発」し、終息する兆しはありません。日本は輸入を認めており、実際にアメリカの牛肉と内臓肉の総輸出量の半分近くを輸入しています。

一方、乳牛用に「rBGH」という、遺伝子組換え微生物によって量産できる成長ホルモンがアメリカ・モンサント社によって開発され、1993年に使用が認可されて以来、アメリカで広範に使われています。これを乳牛に注射すると、子牛の成長が早まるだけでなく、1頭から採れるミルクの量が15から20%増加するといわれています。しかし問題点として、牛の免疫力が低下して乳腺炎にかかり易くなるため膿汁がミルクに混入すること、またその炎症を抑えるために投与される抗菌剤の残留が指摘されています。

さらに、「rBGH」を投与された牛のミルクは、「IGF-1」という「インシュリン様成長因子」が増加するといわれています。これは人体に自然に存在する「IGF-1」と組成は全く同じですが、これを高濃度で摂取した場合、ホルモン系への影響や発ガン(乳がんや前立腺ガン)の危険が指摘されています。

このホルモンの使用については、EUだけでなくアメリカ国内でも反対運動あり、EUと日本は(カナダも)「rBGH」の使用を認めていません。しかしアメリカから日本に輸入される乳製品や牛肉に「IGF-1」が含まれている可能性は大いにあります。「環境ホルモン」のケースでもそうですが、ホルモン作用を持つ物質は、「長期にわたる微量摂取」が予想外の結果を生むことがあります。


油脂類

食用に使う油としては、ゴマ油だけを使っています。それも、ゴマを焙煎して搾った油をろ過して作る茶褐色で風味がある「焙煎ゴマ油」ではなく、他の多くの食用油と同じように精製過程を経て作られる「ゴマサラダ油」です。これを、サラダや炒め物などに使います。油の問題点は、酸素と結びつきやすく、過酸化脂質となって、動脈硬化や老化の根本的な原因になることです。ゴマの種子には「セサモリン」という物質が含まれていて、これが精製過程で「セサミノール」という物質に変わります。このセサミノールに優れた抗酸化作用があります。

 

揚げ物を調理することは、熱や光あるいは時間経過による油の変質、廃棄する油の処理、そして換気扇の掃除などを考えて、原則としてやりません(揚げ物をする方には、もっと変質しにくい「焙煎ゴマ油」を勧めます。これにも、種子を煎るときに生じた「セサミノール」が含まれています)。

 

加工食品としての揚げものは、油の種類や変質の程度が分からないので、なるべく買わないようにしています。最近、厚生労働省が、発ガン性が指摘されている「アクリルアミド」が、ポテトチップスやフライドポテト(フレンチフライ)などから比較的高濃度で検出されたと発表しました(他に、かりんとう、ほうじ茶、コーンスナックなどもあります)。これは、20024月のスウェーデン政府の発表を契機に世界各国で確認され、いま世界的な問題になっているようです。


[参考8(油脂の性質)]すべての油や動物性・植物性食品の脂肪分には、油の成分である多種類の脂肪酸が含まれており、それらの組み合わせで油脂としての性質が決まります。これらの脂肪酸を分類すると、次の4種となります。すなわち、飽和脂肪酸、1価不飽和脂肪酸、リノール酸系脂肪酸、α-リノレン酸系脂肪酸です。飽和脂肪酸以外の3種は、すべて不飽和脂肪酸で、化学構造で2重結合があるため酸化されやすく、過酸化脂質に変質するという弱点があります。しかし、それを上回る有用な性質も持っています。


畜肉や動物脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、コレステロールを増やし成人病の原因になるので、摂りすぎに注意する必要があります。一方、魚介類に多く含まれるα-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などのα-リノレン酸系脂肪酸は、コレステロール値を下げ、血栓ができるのを抑制して、動脈硬化を防ぐだけでなく心筋梗塞や脳梗塞を防ぐという優れた働きがあります。

上記以外の植物油(米ヌカ油、ゴマ油、大豆油、コーン油など)は、概略、飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸とが全体の半分、残りの大半がリノール酸系脂肪酸という構成です。ただ、シソ油だけは、α-リノレン酸が半分以上を占めるという例外的な油ですが、価格が高く入手しにくいのが難点です。

畜肉や牛脂・豚脂そして生卵は、飽和脂肪酸が4割前後、リノール酸系脂肪酸が1割前後で、残りの大半が1価不飽和脂肪酸という構成です。魚は一般に、飽和脂肪酸が3割から4割、α-リノレン酸系脂肪酸が3割前後、残りの大半が1価不飽和脂肪酸です。そして豆類は、飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸がそれぞれ2割前後、α-リノレン酸が1割前後、残りがリノール酸系脂肪酸です。

バター、牛乳そしてナチュラルチーズは、飽和脂肪酸が7割前後、残りの大半が1価不飽和脂肪酸です。マーガリンよりバターが健康に良い理由は、マーガリンの油が変質しやすいこと、そして製造時に添加される乳化剤が腫瘍発生の促進効果を持つことなどです。長期間たくさん食べればコレステロールが増える点では、どちらも同じです。

以上のように、単一の食品で完璧なものはないので、現実的に可能な範囲で適当な食品の組み合わせを工夫して、バランス良く摂るようにする必要があります。なお、飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸は体内で合成できますが、リノール酸系脂肪酸とα-リノレン酸系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸と総称)は体内で合成できないので、食品から摂る必要があります(必須脂肪酸)。


調味料

味噌や醤油は、国産の大豆や麦で造ったものだけを使っています。これらは1日の使用量が多くないので、価格の差はほとんど無視できるのです。この関連で言えば、豆腐は国産のものにしています。しかし、麺類(うどんなど)には、まだ手が回っていません。

 

水について

アルカリイオン水を飲用や炊飯に使っています。野菜や食器の洗浄には、水道水をそのまま使っています。ペットボトル入りの水や清涼飲料などは、ほとんど買いません。

 

なお、以上に関連して次を参照してください。

時代の分水嶺[3] いま私たちの「食」はどうなっているのでしょうか?

 

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