【目次】
(13/08) 日本の現状を憂えるあなたへ
(13/08) 日本の現状を憂えるあなたへ
(Q) 小松英星様
いつも貴重な情報をありがとうございます。
今年に入ってからの世の中の流れは、試練というにはあまりに過酷と思える状況にどんどん進んでいますよね?
TPP、原発事故による放射能汚染、さらには安倍さんの推し進める憲法改正。
ご存じのようにこれは、国民の言論統制と軍国化が狙いのように感じます。
そこでお尋ねします。
安部さんはオバマ大統領に接近しようとしますが、(先方は)明らかに避けている姿勢が見え見えです。
訪米をなかなか受け入れなかったり、夫婦同伴を拒否したり。せっかく安倍さんが訪米しても夕食会もありません。
あげくに握手すら、同席した記者に促されてやっと行ったほどです。
それに比べて韓国、中国には歓待しております。
いくら考えたり調べたりしても、オバマさんの意図が分かりません。
単純に安倍さんの歴史認識や右翼的な物言いが嫌いなのかどうなのか。
小松様はどう解釈されますか?
さらに駐日大使にケネディの娘さんを指名しています。国務長官にはジム・ケリーを指名しました。
これらは全てオバマさんのスタンドプレーでしょうか?
私の近辺におられる方で直観力の優れた方は、口をそろえてオバマさんは「何か言いたいことを我慢している」という感情が伝わると申します。どうでしょうか?
最近では広島に来たオリバー・ストーン監督が、米国は中国を戦争に巻き込んで、日本・韓国を含むアジアで大戦するための準備を進めていると警鐘をならしています。
今回はもう一つお尋ねします。
ご存じの原発事故は収束するどころか、放射能事故を地球全体に拡散しております。現状は日々厳しいと思っています。
にもかかわらず日本も世界も、稼働を進める勢力が強いままです。
日本は広島、長崎での教訓を何も生かせずにいる印象です。
さらに日本人の熱しやすく冷めやすい気質が影響してか、または情報空間の統制もあってか、放射能汚染に対してあまりにも無防備な気がします。
微力ながら少しでも認識してもらうように周辺に正しい情報を拡散しておりますが芳しくありません。
どの優良な学者も今の段階では打つ手なし、という見解です。
これも自分達でどうにかする以外にないんでしょうか?
(A) 拝見しました。
「日米関係」を理解するには、「独米関係」と対比すると鮮明に見えるようになります。
1945年から始まった第2次世界大戦後の敗戦国の統治に関しては、ドイツと日本では大きな違いがあり、それが現在まで尾を引いています。
ドイツと日本の根本的な違い
ご存知のようにドイツでは「英・仏・米・ソ」による分割統治が行われ、経済的には「一つの単位」として取り扱われたものの、行政面は各連合国軍による完全な軍政でした。
したがって、1948年の「ベルリン封鎖」のような出来事を受けて、1949年に「西ドイツ(ドイツ連邦共和国)」および「東ドイツ(ドイツ民主共和国)」が成立するまで、中央政府は存在しませんでした。
その間に、戦場になって大きく破壊されたドイツ国内で、各連合国軍が整理統合した新たな州や、市や町などの地方行政組織は再建されていきましたが。
共通的な問題を処理するために「連合軍管理理事会(Allied Control Council)」が設置されたものの、実質的には、例えば米軍占領地域では、現地の「米軍政府(OMGUS:Office of
Military Government for Germany, U.S.)」が完全な権限と責任を持って施政に当たりました。
この間に「ナチスドイツの残滓(ざんし)」を徹底的に一掃する仕事が、各国各軍それぞれの考えに従って、ドイツ市民の積極的な協力も得て遂行されたのです。
また、1955年5月5日に発効して西ドイツの完全な主権回復(占領法の廃止)につながった「パリ協定」は、その前座として行われた「ロンドン九か国会議(英・仏・伊・ベネルックス三国、アメリカ、カナダ+西ドイツ)」と共に、複数国が関与することによって少なくとも「チェック・アンド・バランス」が働いたものになっています。
その後ドイツは、1990年10月の再統一を経て、今や名実ともに「EU(欧州連合)」の盟主です。この地位は、「ナチスドイツ再現」への近隣諸国の懸念を完全に払しょくするための、官民挙げての地道な努力を通じて勝ち得たものです。
もしドイツの首相が訪米する機会があれば、アメリカ大統領は最高の礼を尽くして迎えるでしょう。2011年6月のメルケル訪米がそうであったように。
http://www.youtube.com/watch?v=3gjwfG0qvFY (YouTube:27分42秒)
一方、1945年から52年まで足かけ7年も続いた日本に対する連合軍占領の実態は、アメリカ軍による単独占領でした。
そしてドイツのケースとは違って、「総司令部:GHQ(General Headquarters)」は直接軍政をしかず、既存の日本政府の行政機構を利用して間接的な統治を行いました。
つまり総司令部が企画・立案した政策は、覚書や口頭などによる命令として日本政府に伝えられ、それを法律や政令などに焼き直して日本政府が実施するという形式が採られたのです。
このような「間接統治」によって、戦前の官僚組織や慣行・思考様式がそのまま生き残り、いわゆる民主主義的な改革が、人や意識の面を含めて中途半端に終わったことは間違いないでしょう。
しかし総司令部は、超法規的な権力を用いて、A級戦犯容疑者の抜き打ち逮捕、人権指令(共産主義者を含む政治犯の即時釈放、思想警察の全廃、一切の弾圧法規の撤廃など)、そして公職追放(戦争犯罪人、陸海職業軍人、極端な国家主義者などの公職からの罷免や官職からの排除など)を日本側への事前連絡なしに断行しています。
このような広義の民主化政策は、1950年6月に始まった朝鮮戦争を経て、次第に変質していきます。
同年7月には、朝鮮戦争へ出動する在日アメリカ軍の空白を埋めるために、GHQは国家警察予備隊(7万5000人)の創設や海上保安隊の拡充(8000人)を指令し、これが再軍備への道を開くことになります。
この段階ではまだ、当時の吉田首相は、経済的負担や近隣諸国への配慮から、それ以上の軍備拡充要求には抵抗しようとしていましたが。
翌1951年6月には、公職追放の解除も始まります。
こうした流れを主導したのは、ジョージ・ケナンが率いる「国務省政策企画室(Policy Planning Staff, Department of
State)」です。それは、ソ連との「冷戦(Cold War)」を勝ち抜くために、極東での「日本の利用価値」に重きを置いた軍事戦略で、今でも日本はその流れに巻き込まれています。
そして1951年9月に開催された「サンフランシスコ講和条約」は、参加国の数こそ52か国と多かったものの、実質的には「アメリカとの単独講和条約」でした。
中華人民共和国と中華民国(台湾)が交戦状態にあったため、紛糾を避けるためとして両国とも招聘されず、共産圏のソ連、ポーランド、チェコスロヴァキアは中国(中華人民共和国)の不参加を理由に、出席はしたものの調印しなかったからです。
さらに、同時に調印された「日米安全保障条約」によって、「米軍による日本占領体制」が実質的に固定化されることになって今日に至ります。
以上のような経過が日本政府にもたらしたものは、何かにつけアメリカに伺いを立て、またはその意向を忖度(そんたく)して方針を決めるという卑屈な姿勢です。
それは当然ながら、近隣諸国との友好関係を軽視する姿勢につながります(世界の人々が心から尊敬するような真の力を持つ日本は、アジア諸国との友好関係を通じてしか生まれないのに)。
外務官僚と防衛官僚が、そのような「アメリカべったり」の運営方針を金科玉条のように信奉しているので、誰が政権を取っても外交では同じ姿が現れるのです。
次の外務省HPをご覧ください。こんなことをやっているのですが、これは民主党政権時代のものです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/2plus2_gai1106.html
ちなみに、米軍駐留経費の負担率は、ドイツが約3割、日本は約7割です(日本は「思いやり予算」という曖昧なものが存在するため負担率が多くなっています)。
その根底には、「ソ連の脅威」そして最近では「中国の脅威」という自己暗示があり、アメリカに守ってもらわなければ日本は立ち行かないという根拠のない思い込みがあるようです。
しかし、もし日本が中国と断交して、中国に立地する日本企業の全拠点が引き揚げ、基幹部品の中国への輸出が途絶すれば、世界経済での中国の優位は一瞬で崩壊するでしょう。中国が受けるダメージは、日本のそれとは比較にならないでしょう。
中国の指導者が、それに気づいていないはずがありません。
アメリカから見れば、その辺の構図は見え見えで、日本は「放っておいてもついてくる」という基本認識があるはずです。
なんのかんのと言っても結局は「アメリカの意思」が、すべて通ってきた歴史と現状がその証明です。
したがって、毎年のように入れ替わる日本の首相が、「参勤交代のあいさつ」に来る程度のことに時間を割く気にはならないというのがアメリカ側の本心でしょう。
http://news.kyokasho.biz/archives/6571
そのような彼我の立場の違いを、何かにつけ感じないわけにはいかないので、安倍首相はついつい気おくれしてしまうのでしょう。
日本のマスメディアは、こうした実情をほとんど報道せず、さも成果があったかのような「公式見解」だけを垂れ流しています。
中国と韓国へのアメリカ政府の視点
それとは逆に、アメリカ政府が中国を重視するのは、第2次世界大戦の戦勝国で拒否権を持つ国連の常任理事国、そして核保有国で世界最大の正規兵力を擁し(軍事費では第2位)、GNI(国民総所得)が世界第2位という表面的なデータだけでも当然のことです。
しかしアメリカが最も気づかいしているのは、中国が持つ世界最大で巨額の外貨準備でしょう。
2013年3月末で、その額は3兆4400億ドルで、第2位の日本の2.7倍もあります。そのうちアメリカ国債(財務省証券)は1兆2650億ドル(37%)です。
中国は近年、外貨準備が増えてもアメリカ国債の持ち分を増やさないように留意しているようですが、もし現有のアメリカ国債を幾分でも売りに出す(金や他の外貨に切り替える)方向に政策転換すれば、直ちにドルが暴落してアメリカの金利が急上昇し、「アメリカの破産」が現実のものになるでしょう(現在でも実態としては破産していますが)。
その場合、中国も外貨準備が目減りするダメージを受けますが、依然として巨額の外貨準備を保持できます。
まさに中国は、アメリカに対して「生殺与奪の権」を持っているのです。
ちなみに日本も、中国とほぼ同額(1兆1000億ドル)のアメリカ国債を保有していますが、それは外貨準備の9割にも達するので、動きが取れない「塩漬け」状態になっています。
韓国に関しては、終戦直後の「38度線を境界とする米・ソ分割占領」を経て、1948年に「大韓民国」と「北朝鮮民主主義人民共和国」が成立し、南北が分立するという不幸な歴史があります。
それから間もなく1950年6月に「朝鮮戦争」が起こり53年7月まで続くという更なる不幸が重なり、1951年9月の「サンフランシスコ講和条約」にも招聘されませんでしたが、少なくとも敗戦国ではありません。
そしてアメリカとの関係では、朝鮮戦争を共に戦ったとういう絆の深さは日本の比ではないでしょう。それに加えて、いまだに民族統一が実現せず厳しい状況に直面していることへの思いやりもあるかもしれません。
また現時点でアメリカは、韓国が(国内にあった強烈な反対意見を押し切って)米韓自由貿易協定(FTA)を発足させたことを評価しているでしょう。
それは、輸出比率がGDP比で4割から5割に及ぶ韓国の国内事情もありますが、何よりもオバマ政権がアメリカの輸出拡大策の一つとし強く求めてきたものです。
オバマ大統領の自己矛盾
さて、当のオバマ大統領ですが、ヤミ勢力の要求に応じて次々と「人道に関する罪」を重ねています。
その代表的なものは、自国の国民だけでなく世界中の市民に対して、HAARPやケムトレイルを用いた気象操作や人口削減計画を、彼が最高指揮官であるアメリカ軍が中心となって進めていることです。
アメリカの軍事費は6825億ドルで、第2位中国1661億ドルの4倍にも達します(2012年、SIPPIストックホルム国際平和研究所)。この巨費のおぞましい使途の詳細については、大統領になって初めて知ったものがほとんどでしょう。ちなみに日本の軍事費は、ロシア(907億ドル)、イギリス(608億ドル)に次いで第5位の、593億ドルです。
オバマはその悪行に大統領として加担していることが、自分の「魂の導き」の正反対であることは痛切に感じているでしょうが、常に「彼ら」の強烈な脅しに直面していて、もう後には戻れない状態でしょう。
駐日大使に関しては、基本的な枠組みとして日米双方の外務、防衛閣僚によって構成される「日米安全保障協議委員会(「2+2」閣僚会合)」があり、それを通じて日米関係の基幹部分をコントロールするというのがアメリカ側の基本認識でしょう。
したがって、駐日大使がキャロライン・ケネディであれ誰であれ、大勢に影響はないということでしょう。
また外交を担当するアメリカの国務長官は、政府閣僚の最重要ポストで、各国の外務大臣以上の広範な権限を持っています。
オバマ大統領は、第1次オバマ政権発足時の妥協の産物として民主党の大統領候補を争ったヒラリー・クリントンをそのポストに就けたのですが、何かとそりが合わない彼女を、時期をみて交替させることが懸案だったはずです。
したがって今回は、内外ともに納得する大物を充てる必要から、2004年の大統領選で民主党候補としてブッシュ大統領と争ったジョン・ケリーを、順当な人事として起用したのでしょう。
(続く)
【関連】
[Q&A目次(ケータイ専用)]
[ホーム]
Copyright© 2013 Eisei
KOMATSU